2023年6月17日、日経平均株価が連日の最高値を更新している中でコールバックスプレッドというオプション戦略を運用しています。
先月は大きく利をのばしたコールバックスプレッドですが、今限月はなかなか苦戦しています。
現在、運用していて感じていることを共有したいと思います。
コールバックスプレッドとは?
コールバックスプレッドはニアの売り玉とファーの買い玉で構成される一般的にベガロングポジションのスプレッドです。
合成ポジションではベガロングポジションでセータはネガティブとなるのが普通です。
内訳はニアとファーの建玉でIVは個別にありますので、
スプレッドに有利な方向に動くか逆向きに動くと不利に働きます
具体的に書くと、
売り玉のIV↑ 買い玉のIV↓は股裂きで厳しく
売り玉のIV↓ 買い玉のIV↑は有利に働きます。
なので、コールバックスプレッドを運用する場合はIVの動きが上記のようになってくれると良いのです
通常、有利なIVの動きは先物が下落した場合となります。
バブル後最高値更新相場でのIVの動き
ですが、最近の日経高値更新相場では
先物上昇→コールIV上昇、先物下落→コールIV下落となっており先物上昇時しか有利に働きません
もうちょっと具体的にいうと
先物が上がっているときにコールの買い玉を利確するか、コール売りを追加するかデルタヘッジ
さらに先物が反落したときにコールの買いを追加するか、先物買いを追加するか、コール売りを利確するかしないといけないのでかなり悩ましいです。
一方で、先物は高値を更新しているのでコールバックスプレッドをホールドするという選択もとれます。
この場合は、セータがマイナスに働き、IVが低下してしまうとベガロングがマイナスに作用してしまうという悩ましさを抱えます。動きとしては、高値を更新するとIVが上昇することも確認されているのでベガロングでポジションは運用したいところでもあります。
ボラティリティの低下をどう防ぐか
オプション取引はボラティリティの影響が一番大きく、デルタをロングに振っていても、ボラティリティの低下を喰らってしまうとコールバックスプレッドでは損失になることは珍しくありません。
ボラティリティの低下は、コールバックスプレッドのとってはリスクになります。
従って、コールバックスプレッドについてはIVの見極めが重要になってきます。
最近はFOMCやBOJを通過したために期近ポジションのIVは低下していくかもしれませんので、注意が必要です。
イベントの通過前にヘッジ目的で増加するIVを狙う戦略が考えられます。
IVが下がるとベガロングでは損失がでますので、ポジションのベガをあまり大きくしないように調整し、チャンスを伺う作戦が考えられます。
ボラティリティの動きを見極め、ポジションのベガを調整することが重要になります。ポジション管理、メンテなどと表現されます。
バイクラまではデルタロング、ベガロングでと考えていましたがジワジワ上げる展開が続いており思ったようなバイクラにはなっていません。むしろ1000-2000円調整を挟んでから値幅が出る展開もありそうでそちらの場合はデルタロング、ベガロングがたたってしまうためポジションを傾けるのはリスクを伴います。
ブルシンセの運用
カバードプットを加えることでブルシンセのように運用できます。
カバードプットはベガショートポジションなのでポジション全体のベガを落とすことができます。
幸い、現在の相場は先物上昇でプットのIV上昇、下落ではIVが低下することが確認されておりカバードプットはマッチした戦略となっています。
ただし、暴落時ではカバードプットから損失がでてしまうため狙ったようにIVが動かないときは損切りをしないといけません。
コールバックスプレッドは適切な戦略か?
ここまで運用していて苦戦しているということは戦略としてマッチしていないのではないか?といった問題になってきます。
先物ロングと比較すると、コール買いではIV上昇などのリターンが期待できることから資金効率はアドバンテージが現在の相場ではあります。
裸コール買いよりもデルタのリスクを落とした、プロテクティブコール、コールバックスプレッドは同様にマッチしているストラテジーであることは間違いありません。
やはりセータネガティブであることと、ベガロングであることからポジションをキープしながらでの運用はちょっと難しいところが出てきます。
相場が1000円幅ぐらいでいってこいとなると扱いやすい面があるのですが、ジリ上げが続く展開ですのでコールバックスプレッドはやや難しい面があります。
対策として、上昇時にある程度ベガ益を確保しておきたいとなると
コールバックスプレッドのデルタとベガをロングに振って、先物上昇時にコールの買い玉を利確してニュートラルにするという運用にしておくと多少ポジションの調整は楽になってきます。
いずれにせよ上昇に備えてポジションをとり、ある程度のところでリターンを確保しないと含み益が消失するという相場が続いています。
ボラの盛り剥げを丁寧にとりながらポジションを適宜調整していくというのが現状の答えかなと考えています。
コールバックスプレッドはニアと、ファーのIV状況、先物状況が狙える状況であれば優位性を持ったポジションと言えます。
難しいと考えられるときは、ノーポジションが正解と言えるでしょう。