オプション戦略紹介シリーズです。
今回はベアシンセティックをとりあげます。原資産の買いとプットの買い+コールの売りで構成されます。
ベアシンセティックはこの戦略は、プロテクティブプットとカバードコールを組み合わせたもので、柔軟な対応が可能です。この記事では、その基本から応用までを詳しく解説します。
ベアシンセティックとは
この戦略は、原資産の保有とオプションの組み合わせによって構築されます。具体的には、プロテクティブプットとカバードコールの2つの要素で成り立っています。
ベアシンセティックの概要
ベアシンセティックは2つのポジションに分解することが出来ます
- プロテクティブプット
- カバードコール
ベアシンセティックのメリット
ベアシンセティック戦略は、グリークス(デルタ、ガンマ、ベガ、セータ)が比較的マイルドです。デルタニュートラルに近いポジションを取ると、市場の変動に対して安定したパフォーマンスを期待できます。
少し時間をかけたゆったりとした勝負も可能なスプレッドです
1例を示します。相場観が少しでているのと、引け値で組成なのでオプション価格に乖離がある可能性はありますので実戦とはずれる可能性があります。
グリークスと損益予定図はこちら。
水色の線は満期損益図なので無視して下さい。満期まで持ち込む戦略は今回は述べません。
オプションで重要なことは、白い線の損益図の変化になります。
プットサイドとコールサイドでオプション特性が変化することも重要です。
さて、組成したベアシンセですが。。
デルタはニュートラル。ガンマフラット、ベガは若干ロング、セータはマイナス。
マーケット環境に応じた柔軟な対応
この戦略は、相場の上下動に対して柔軟に対応できるのが特徴です。市場が下落するときにはプロテクティブプットが利益を生み出し、上昇時にはカバードコールが収益を確保するという感じです。
ベアシンセティックの狙い
先物ミニ3枚あてていて下落は不安になりますが、ベガをロングに振って下落耐性ポジになっています。現在の相場環境ですと先物が25000円を割れるような展開ならIVが噴いてプラスになります。下がれば下がるほどプラスになるポジション。
一方、先物が上昇した場合は27000円ぐらいまではフラットか若干プラス。ミニをあてるか、コール売りを調整するなどの工夫は必要ですが時間経過が経てば立つほど水色損益に近づく。つまり、上昇時儲かるようになります。
ゴチャゴチャした説明になりましたが、ベアシンセティックは
下落にも強く、ポジション組成後にリバウンド先物上昇するような展開を理想とするポジションです。通常先物上昇ではプットIVが盛り、コールIVが剥げるのでIVの動きも理想的です。
先物を売るだけとも買うだけとも違う、オプションならでは幅のある作戦になります。
ベアシンセティックの弱点
ジワ下げに弱いです。IV変化や動きを読まないといけません。現在の相場環境で26000円はレンジ下なのか上なのかという議論はあるのですが、プットオプションが前日比で剥げているときなどは妙味があるポジションと思います。
IVの見極め
インプライドボラティリティ(IV)の変動を正確に読み取ることが難しい場合、戦略の効果が減少する可能性があります。ボラティリティ変化が収益となるので慎重な判断が必要です。
まとめ
ベアシンセティック戦略は、オプション取引においてリスクを抑えつつ利益を追求できる有効な手法です。市場環境に合わせた戦略の調整が必要ですが、適切に運用すれば大きな成果が期待できます。