オプション取引で利益を最大化するためには、リスク管理が不可欠です。本記事では、コールレシオスプレッドの戦略を紹介します。
コールレシオスプレッドとは
コールレシオスプレッドはニアのコール買いと複数のファーコール売りで構成されます。
ガンマショートポジションのためレンジ相場で機能します。
コールレシオスプレッド 損益図
コールレシオの損益図を見てみましょう。非常に利益がでやすいポジションです。
コールレシオの損益図
今回は4月限買いC27250@190×1、4月限売りC28000@75×3 のコールレシオです。
水色の満期損益図は28000円まで全てプラス、28500円ぐらいまでプラス。それより先物があがると理論上、損失無限大となります。
今の相場状況を鑑みてもおそらく100%に近い勝率を維持すると思います。すなわち高勝率スプレッドです。
コールレシオのグリークス
ガンマショート、ベガショート、セータプラスです。相場が動くと損失。コールオプション売りが多く組成しているので下落した方が儲かりそうなのですが、下落するとコールのIVは上昇するのでコールレシオには損益が減るようにベガとガンマが働きます。
では、上昇時のコールIVが剥げるのを利用してみてはどうか?という発想もでてきます。
リスクと資金効率の問題
コールレシオスプレッドの欠点は、資金効率が悪いことと急騰時のリスクです。特に、株価が急上昇した場合、大きな損失を被る可能性があります。
踏み上げ時はガンマショートにより大きく損失になる
コールレシオが踏み上げを喰らった(上昇時)図です。ガンマとデルタを見て下さい。ベガもショートしてくれれば損益はもう少しだけ減りますがガンマがキツすぎてかなりの損失を喰らいます。先物をあててヘッジしようとしても膨らむガンマとデルタのせいでコール売りのマイナスの影響がかなりでてきます。ただし、じり上げであればポジションの調整ができることもあります。
急騰時のコールレシオは損益マイナス+証拠金上昇のダブルで死にます。
3万5千円の利益を狙って300-500万と証拠金が増えていくのであれば馬鹿らしくてやっていられません。
問題点 資金効率の悪さ
レシオスプレッドが好まれない理由の1つに資金効率の悪さがあります。200万近く証拠金を用意して1ヶ月ポジションを維持して数万のプラスでは。。
実際計算してみます 今の先物水準が続いたとして、満期待収益+3.5ですので (3.5/200→ 利回り月 1.75%。。これに理論上損失無限大のリスクが加わります)
端のオプションを売るということは同様のリスクを抱えます。コールはプットよりもIVが低いのですが、ガンマは大きい傾向があるので売り玉が捕まると損失が膨れ上がる可能性が高いです。特に、ごく稀に起こる1000円近い上昇、踏み上げ相場などでは非常に危険となります。
セータプラスなので数日動かなければ。。。ポジションが熟成する
仮に1週間程度動かなければ損益はプラスになって利食いできる状況になります。
ただし、ガンマのリスクなどを考えるとカレンダースプレッドなどの方がより安全に思います。相場の上下を当てるのも難しいですが、動くか動かないかをあてるのもこれまた難しいですね。。。
セータで稼いでも、動くとガンマショートが効いてくるのであまり変わらない
セータで稼げていても、逆行するとガンマショートが効くのでかなりマイナスになります。取り扱いが難しい。。
1ヶ月近く相場が膠着すれば勝てるが。。。
1ヶ月近く相場が膠着すれば逆行しても満期損益図に近い安定勝率をえられます。
でも、1ヶ月近く相場が膠着することは少ないので、絵に描いた餅になります。
コールレシオスプレッドの狙い所
コールIVが高いときが狙い目。かつ先物の下落を期待するので、コールバックが噴いた時などは狙い目になります。急騰に伴ってコールのIVが上昇した時は狙い目。
またレンジ相場でのリミット上限に仕込めば99%は勝てます。が、レンジブレイクするとこれまでの勝ちを吹っ飛ばすリスクがあります。
やってることはコールIVの剥げを狙うのでカバードコールの方がやりやすいかもしれません。逆行すると損しやすいので、先物が下落してプラスになったら利確してポジションは解体か変形が良いと思います。
コールレシオスプレッドの注意点
このスプレッドは理論上は勝てるのですが、ガンマショートとベガショート、損失無限大と取り扱いに困る要素が多いので、あまりオススメしません。また売り玉を増やすと証拠金が異常に増えるので、なかなかポジション組成もままなりません。なので、他のポジションで代用するのが良いと思います。
ポジションの性質として、逆行すると大きく損をするので
先物を売っている感覚に近いです(それでいて資金効率が非常に悪い)
結局、コールレシオで勝てるのであれば、先物を売っていれば良かったわけだし、セータがおまけでついてきますがガンマのリスクの方が上回ってしまいます。膠着でセータを抜くのであればカレンダースプレッドなどの方がガンマヘッジがもう少し効くので良いかもしれません。
また利益を大きく得ることが非常に難しいスプレッドなので、多用していると大きな損失を喰らったときに年間分の損失を叩き出す可能性もあります。
なのでコールレシオを考えるよりは他のスプレッドで攻めることができないか?を考えた方が良いと思います。
結論、コールレシオはやや中途半端なポジション?
コールレシオで勝つには基本下落です。だとすれば、先物を売っていても良い。IVの剥げをとるのであればカバードコールの方が調整がしやすい。
セータがプラスでカバードコールと比べるとコールレシオは下落には強くなっていますが、上昇時は逆に弱くなっています。証拠金もレシオの方が多くかかる。高勝率ですが、急変に弱いです。
コールレシオの場合は急騰だけ避ければ勝利することができるでしょう。たまにくる急騰で損失を被るそんなスプレッドです。
カバードコールに買いコールを足すような感じに変形してもよいですが、そうすると下落にメチャクチャ弱くなります。
下げの読みが合っていての戦略となると、それであれば先物ミニを売っている方がマシ。リスクも低いという ことになってしまいます。
代替戦略の提案
このポジションにおいてはセータがプラスとはいえ、あまり効果的に機能しません。機能するとすれば2週間程度相場がレンジで膠着するときです。であれば、カレンダースプレッドの方が安定します。
代用ポジションが存在し、それらの方が証拠金が少ないという上位互換になるのでコールレシオを組成する前に、ベストなポジションは何か?という問いを検討した方が良いと思います。
ベガショートでいくのか、ベガロングでいくのか、おまじないで端のファーオプションを加えておくのか検討が必要です
まとめ
コールレシオスプレッドは、高い勝率を持つ戦略ですが、資金効率や急変動への対応が課題です。レンジ相場やIVが高い時に有効ですが、他の戦略と併用することが推奨されます。