プットバックスプレッドの基本とリスク管理

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プットバックスプレッド

オプション戦略のプットバックスプレッドを紹介します。

プットバックスプレッドはACさんブログが有名だと思います。毎回、大暴落時に大きな利益を上げられています。

それでは、プットバックスプレッドがどのように利益をうむのか見てみます。

目次

プットバックスプレッドとは

プットバックスプレッドはニアのプット売りと複数のファープット買いで構成されます。

暴落で有名になるスプレッドの代名詞 プットバックスプレッド

プットバックスプレッドの勝ちパターンは2つ

  • 先物上昇時のSkewの立ち (先物上昇時)
  • 暴落、ファープットの大爆発(先物大暴落、先物下落程度では難しいことに注意

先物上昇時のSkewの立ち、大暴落時のファープットの大爆発を狙う2パターンの勝ちパターンを狙うという戦略になると思います。

プットバックスプレッドは暴落によるファープットの大爆発時(年~数年に数回)はポジションを持ってさえいれば爆益になるので夢のある戦略になります。夢もあり、人気がある戦略ですが、これだけで勝てるほど甘くありません。

詳しく、スプレッドを分析してみます。

プットバックスプレッドのグリークスのチェック

3月限 P26500 1枚売り、P24000 買い 4枚の プットバックスプレッドを考えます。

ガンマフラットのプットバックスプレッド
ガンマフラットのプットバックスプレッド

クレジットで組んだプットバックスプレッドはガンマフラット(GF)

ガンマフラットのプットバックスプレッド

ガンマフラットプットバックスプレッドのグリークスはデルタフラット、ベガロング、セータマイナス

先物が下がった場合、プットの売り玉は当然損しますが、枚数の多い買い玉からの利益がその損失を上回るという戦略になります。

先物が上昇する分にはクレジットで組んでいれば利益確保。上か下に大きく動く分には非常に安定していると言えます。

下げ相場での戦略

プット買いだけでは、デルタマイナス、セータマイナス なので下落1方向でしか勝てません。

ヨコヨコするとオプションは減価します。いぜ、下落してもジワ下げだとなんとマイナスになることすらあります。これがオプションの買いで勝つことの難しさです。要は、先物の方向性をあててもなかなか上手くいかないのです。オプションはセータやベガといったパラメータを持つためこのようなことがおこります。

プットバックスプレッドはプット買いにプット売り玉が加わりセータリスクが軽減しており、暴落を待ちIVの上昇を期待、先物上昇のSkewの立ちでも勝てる両方向対応のスプレッドとなります。

プットバックスプレッドの利益の源泉は?

端っこの屑プット買いに秘密があります。プット買いは端っこを買いますが、これはSQ満期のインを期待しているわけではありません。

残存の残っている端っこの買い玉プットオプションは、たとえ屑プットでもそこそこのベガの値を持ちますこのベガ益(IVの増加)がプットバックスプレッドの爆発力をうみます。ひとたびベガが増加すると、デルタ×ベガ×ガンマとなって加速度的な利益を生み出します。

ファープットの売りは怖い

当然精算する際の買い玉の返済売りの相手は、ファープット売りで捕まっている売り手です。

プットバックスプレッドの爆発力はすなわち、ファープット大量売りの破滅の裏返しです。プット売りが怖いと聞いたことがあると思いますが、枚数の多いファープットの売りは破滅に繋がる恐れがあります。

以上のようにオプション取引は売り手と買い手が存在しているのですが、価格の大変動の際におこる屑オプションの爆発は

オプション価格の計算式であるブラック–ショールズ方程式の性質によるものと思います。

端の屑オプションがベガとデルタを持ち、加速度的に増大するという性質です。

例えば1500円程度の暴落がおこると トータルでは大きな利益になる

暴落時のプットバックスプレッド
暴落時のプットバックスプレッド

例えばプットバックスプレッド組成後、先物が大きく低下した状況を考えます。重要な点は急落で売り手が恐怖を感じるほどのいわゆる暴落でないとダメです。1週間程度かけてジワジワ下げるような展開ですとIVはむしろ剥げることもありIVの又裂きを呈することもあります。

売り玉も損失を負いますが買い玉のプットのガンマが効いてガンマロングに変化。スプレッド全体のデルタはマイナスとなって期中損益はプラスになっています。

ですが、このSBIのツールではIVの変化は考慮されておりません。大変動時はIVの変動も伴います。

つまり、シミュレーターどおりには動きません。

これほどの下落となると通常IVは大きく上昇するハズです。したがって、実際はこのシミュレートにベガ×上昇%(10パーセント以上は堅いと思います)が損益プラス、つまりプラス60万以上となることが予想されます。ベガに表示されている数字はIVが1%上がった際に増える金額になります(58.606だと 1%↑で+58606ということになります。)

IVは時にもっと噴きますので1セット+100万と言うことも当然ありえます。このスプレッド証拠金70万程度で組めるので、ほぼ簡単に2倍程度の資金になるといえば、その資金効率が高いことに気づかれると思います。

満期直前は買い玉のプットは効かず、ほとんどただのプット売りになる

満期直前のプットバックスプレッド
満期直前のプットバックスプレッド

プットバックスプレッドを仮に、満期直前まで保持した場合です。買い玉は萎んでしまっているので、ほとんどただのプット売りになってしまいます。期中カバードプットへの変形、利確、バタフライ、コンドル、クレジットスプレッド、カレンダースプレッドなどへの変形など対応が適宜必要となります。

ベガフラットのプットバックスプレッド

ベガフラットのプットバックスプレッド
ベガフラットのプットバックスプレッド
ベガフラットのプットバックスプレッド
ベガフラットのプットバックスプレッド

次にベガフラットのプットバックスプレッドを考えます。

デルタを消すためにミニ売りを1枚この場合あてる必要はありますが

ベガフラットのプットバックスプレッドを考えます。ガンマフラットよりセータがマイルドになっており、上昇局面では利益になりやすいです。果たして暴落時どうなんでしょうか?

ガンマフラットのプットバックスプレッドは急落時、シミュレーターでは期中損益マイナスだが?

急落ーベガフラットのプットバックスプレッド
急落ーベガフラットのプットバックスプレッド

ベガフラット気味に組んだプットバックスプレッドも、急落するとプットの買い玉のガンマも効いてきて、ガンマ、ベガともに大きくロングになります。シミュレーターでは期中損益マイナスになっています。

しかし、シミュレーターはIVの変化率は一定です。ここにシミュレーターと実戦の大きな変化がでてきます。さすがに1500円の急落となるとIVは大きく上昇します。IVが低く相場が楽観しているほど、大きく上昇することが実戦上知られています。

したがって、ベガ益により大きなプラスとなります。が、これはマーケット状況次第であるためなかなか難しいところです。なんとかショックでは間違いなく機能しますが、ちょっとした下落程度では難しいです。

IVの変化を示すVIXチャートを見てみましょう。低IVから定期的にIVが上に噴いていることから、このポジションが機能していることがわかります。

IVチャート
IVチャート

カレンダーバックスプレッド

期近と期先を組み合わせたカレンダーバックスプレッドも状況によっては有力です。通常のバックスプレッドよりもセータがマイルドになっておりベガを狙った攻め方が可能になります。特に、期近と期先のIV差を組み合わせるとエッジが増すように思います。

カレンダーバックスプレッドは先の見えない金融危機などでは特に期先のIVが噴きますので非常に有力になります。逆に言うとボラが剥げるような展開が弱点になります。

プレミアムが大きくなるので、すぐに扱えるスプレッドではありませんが検討のしがいのあるスプレッドに思います。

どのスプレッドも基本的には、安く買って、高く売ることで利益を得ます。プライスの状況で優位性がでるといえましょう。

プットバックスプレッドの狙い所

プット買い玉のベガを狙うスプレッドです。そのためIVは低いところから高くなれば良いし、初動のIV上昇でも間に合います。上がってしまったところではIV低下の危険が高いのでメリットは少ないです。暴落を予想するのは難しいですが、暴落前ポジション。また売り玉が盛っていて、買い玉が剥げているところはIVの鞘が抜けるのでチャンスになります。さらに、先物が上昇すると利益がでるようにクレジット気味にポジション組成にしておくと上手いと思います。となると、総楽観時、レンジ下限などでファーのプットが盛りすぎていない状況で残存があるときは狙い目といえます。

プットバックスプレッドの注意点

このスプレッドは理屈上は大きく勝てますが、とにかくプットの買い玉IVに全てがかかっています。言い方を変えると買い玉のベガが乗らないと、IV又裂きの危険性があり大きな損失を招きます。

買い玉の残存期間が14日前後残っていると比較的安定な印象です。また、ジリ下げではプットはむしろ剥げますので、あくまでも急落、暴落がこのポジションでは重要です。

言い方を変えると、プットを売っているとヤバいという状況ならWin、そうでなければ負けます。むしろ、急騰時プットは盛りますので急落よりも急騰時などで利益がでることは覚えておいた方が良いと思います。また、ベガ益の萎むのも速いので、ベガ利確。ベガショートにまわるなど、相場環境やIV状況も考慮する必要があると思います。

オプショントレーディングおすすめ本

オプショントレーディングおすすめ本を紹介します。

Trading Options Greeks: How Time, Volatility, and Other Pricing Factors Drive Profits (Bloomberg Financial Book 159) (English Edition)

英語ですが最近読んだ本では一番のお気に入りです。ボラティリティートレードについて詳しく解説しています。

ボラティリティートレードの実際や、各グリークスのリスク管理やポジション調整などについても触れられています。

英語だけどボラティリティートレードについてわかりやすく解説されています。電子書籍版あり


オプションボラティリティ売買入門 (ウィザードブックシリーズ)

定番本です。ボラティリティートレードについて日本語解説されている貴重な本です。1点、レシオスプレッドを推奨する記述がありますが、ネガティブガンマポジションは安全ではありませんので注意が必要です。

まずは手に取ってみたい定番本

関連戦略

>> コールバックスプレッド

>> プロテクティブコール

>> プロテクティブプット



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この記事を書いた人

ボラティリティトレードを意識してオプショントレーディングのエッジを追求していきたいと研究の日々です。よろしくお願い申し上げます。

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